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2013年04月22日

第二回コーヒー講座中級編

皆様、こんにちは。

長引いた風邪からそろそろ回復しようとしている金城です。


少し遅くなってしまいましたが、今日は4月15日に行われたコーヒー講座中級編の第二回の模様をお伝えしたいと思います!

本題に入る前にBGMを・・・

最近Cantateでよくかけているお気に入り曲、

ビル・エヴァンス・トリオワルツ・フォー・デビー(Waltz for Debby)



近頃のようなすっきりしないお天気でも、コーヒー片手に外の景色を眺めながら聴くのにぴったりな綺麗な曲です♪



それではコーヒー講座いってみましょう!

今回の講座はいきなりテイスティングから始めました。

受講生のみなさんにAとB、二種類のコーヒーを、銘柄を言わずに飲んでいただき、それから味の印象を語っていただきました。


はじめに出てくるのは、苦い酸味があるこくがある・・・等々。しかしこれらのことばは多かれ少なかれどのコーヒーにも当てはまりそうな大雑把な表現と言わざるをえません。

もっと具体的に、どのような苦味、酸味、風味なのかを問うと、A、Bのコーヒーに対してそれぞれ次のような答えが集まりました。

A
花のような
さわやか


B
チョコレート
ナッツ



さあ、これで答がわかったという方、あなたはかなりのコーヒー通かもしれません!

正解は、、、、













A=モカ(クイーンモカ・シダモ)

B=ブラジル(プレミアムショコラ)

でした!

どちらも前回の記事で紹介したものですね!

華やかで柑橘系のさわやかな香りは多くのモカに共通する特徴で、ナッツのような香りは上質なブラジル・コーヒーによくある風味です。


受講生の方の中には、当てられた方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃいましたが、今日は、こうした味・香りを感じる感覚を磨き、それを記憶する際に大事なことを学んでいきたいと思います。



コーヒーに限らず、ワインや紅茶などの繊細な風味を表現する際には、実に様々な表現方法が用いられます。

その中でも代表的な方法の一つとして、

「比喩」

があります!

他の食品、飲料、香りなどを参考にして、「◯◯のような」と表現する方法です。

上のモカ、ブラジルの例でも「花」や「ナッツ」などコーヒーではないものの風味によってコーヒーの味わいが喩えて表現されています。


しかし、当たり前のことですが、比喩を用いてコーヒーを表現する際、「◯◯のような」の◯◯に入るものの味・香りを知っていなければ、こうした表現はできません



そこで一つの疑問が浮かび上がります。

例えば、モカの香りを「花のような香り」と表現するとき、

「あなたはその『花』の香りを本当に知っているだろうか?」

ちょっと哲学っぽく言ってみましたが(笑)、これを確認することはとても重要なことだと思います。



そこで、今回の講座では、実際にいろいろな食材を目隠しした容器に入れ、匂いだけで、その食品が何なのか当てられるか、というテストをしてみました!

今回は11種類の食品を揃えました。

第二回コーヒー講座中級編



先に答をいうと、左の白いやつから時計回りに、
ヨーグルト
シナモン
ニラ
インスタントコーヒー
バジル
インゲン
チーズ
レモン
グレープフルーツ


そして真ん中二つが、ローズマリーリンゴ

となっています。


テストの様子。皆様、真剣です。
第二回コーヒー講座中級編




答を写真で確認した後だと、「簡単じゃん!」と思われるかもしれませんが、

いやー、これがやってみるとなかなか難しい!(><;)

私も半分ちょっとしかわかりませんでした!


ホワイトボードに受講生の皆様の解答を集めて、みなさんの印象を確認してみました。
第二回コーヒー講座中級編



ほとんど全員正解のもの(シナモンなど)から、誰も分からなかったもの(いんげん、ニラ)まで、様々でした。


こうしたテストから、私達は「◯◯のような」と言ったときの◯◯の香り・味を意外と知らない、ということが分かります。



ソムリエさんなどの味覚とその表現のプロフェッショナルは、ワインなどの風味を表現する際に様々な食品の風味を利用します。

これは素人の私たちにはなかなか難しいことです。知識は本を読めば蓄積されますが、味の表現力を磨くには実際の経験が必須です。

その「経験」はだいたい次のようなプロセスから成っています。

1.様々な食品の香り・味を実際に感じる
2.感じた味を言語と結びつける(感覚の言語化)
3.感覚を言語として記憶する
4.その記憶をもとにして食品の味・香りを表現する


そしてまた新たな食品に出会い、1~4で培った記憶をもとにまた表現し、それを記憶し、また次の食品に出会い・・・というふうに続き、繰り返されていきます。

このプロセスからわかるように、味覚・風味を表現することと、それを感じる感覚を磨くことは実はほとんど同じことを意味しています。これらの能力の成長にはお互いがお互いを必要とし合っています。

そしてこうしたプロセスは意識的にしていかなければ「経験」として蓄積されることはありません。

幸運なのは、そのトレーニングは意識さえ持てば誰もが日常生活の中でできるということです。

そうして磨かれた感覚と表現力というは決して「コーヒー通」になるためだけに役立つのではなく、すべての食品を楽しむこと、もっと言えば人生をより豊かにすることにつながると私は信じています。


ちょうどこのブログを書いている途中で、素晴らしい本に出会いましたのでご紹介します。

田崎真也『言葉にして伝える技術』 2010年 祥伝者新書


言わずと知れたソムリエ会のカリスマ、田崎真也さんの最近の著書ですが、

この本では、五感の中でも特に意識的に使われることのない「嗅覚」を鍛えることの重要性が強調されています。

若い頃、田崎さんは「香り」の大切さを発見し、オリジナルの「香りノート」を作って、様々な食品の香りを記録していったそうです。

さらに、この本では、「ポジティブに表現する」ことの大切さも論じられています。

例えば日本では「クセがない」という表現を高評価の意味で使うことが多いですが、こうした表現の背景には、何か規範となる100点のものがあり、それからマイナスになるような要素があれば点数を減らす、といった風にものごとを評価する「減点方式」の思想がひそんでいることを田崎さんは鋭く指摘しています。

そうしてしまうと、コーヒーでもワインでも日本酒でも、規範となる100点の優等生を定めている以上、味わいの楽しみ方がそこへ向かって画一化されたものになってしまい、どうも息苦しくなってしまいます。

そこで、「~がない」と表現するのではなく、すべて「~がある」という「加点方式」の形で表現することで、ワインやコーヒーの味覚表現が豊かで多様なものになると田崎さんは語っています。

彼はそこからさらに日本とフランスの教育システムの比較などを通して、加点方式の教育論、コミュニケーション論、人生論にまで発展させており、分量的には軽く読めるけれども非常に含蓄のある本になっていて、とても感動しました!ワインやコーヒーにまだ関心のない人でも一読の価値ありです!



さてさて、いささか大きな話になってしまいましたが、田崎さんに刺激されて、わたくし金城も感覚を磨くことの大切さを改めて認識させられ、コーヒー講座やこのブログを通じてコーヒーの風味を豊かに表現できる力を鍛えるとともに、皆さまの人生に彩りを添えることができるようお手伝いができれば、な~んて思ったのでありましたベー

第二回コーヒー講座中級編




それでは今日はこのへんで。またこのブログとお店で皆さまと交流できることを楽しみにしております。(金城)


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この記事へのコメント
金城さんの自由な表現に感激しました。
はじめまして。カンタータのコーヒーには少し詳しいつもりの人間です。
飛び入り参加ですけど勝手に感想。
僕の知っている頃のクイーンモカには草原の広がりを感じていました。
表現に「花のような」と使いたいコーヒーは他にあるので。でも、「花の蕾のような」という表現もできるコーヒーですかね~?
ブラジルのプレミアムショコラはハニーショコラの事かな?
後で調べてみます\(//∇//)\
ハニーだったら、土の厚みと企業努力と言ってしまいそうww

金城さんの姿勢はとても気持ちが良いです。コーヒーの美味しさが伝わって来ます!
Posted by とら at 2013年06月19日 22:59
とらさん、
コメントありがとうございます!丁寧なコメント、とっても嬉しいです♪クイーンモカの「草原の広がり」「花の蕾」という表現いいですね。いただきです(笑)コーヒー講座も順調に頑張っております!

また是非ブログに遊びにきて下さい!コメントもお待ちしております♪
Posted by Cafe de CantateCafe de Cantate at 2013年06月20日 22:09
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